食費20万円

エッセイ

年末年始休暇。
私は関東から、社会人になって初めて生まれ育った故郷の関西へ戻った。

そしてなるべく沢山の人に会おうと決めていた。
僕たちが会える時間は思っているより短い。

関西へ戻った一日目は、高校サッカー部の仲間とフットサルをした。
中には3年ぶりに再会を果たした人もいるのではないだろか。
そこそこの人数が集まり、大いに楽しんだ。
共通して楽しめるものがあると、とてもやりやすい。

フットサルを終えた後は食事だ。
それぞれの車に乗り込み、ガストへ向かう。
移動手段に車が使われる当たりに月日の流れを感じる。

何グループかに別れてランチを楽しんだ。
話題のメインはそれぞれの社会人生活の話だ。
皆異なる業界・職種についているので、誰の話を聞いても新鮮で面白い。

その中で私が印象に残った話をした仲間がいる。
それがタイトルの通り「食費20万円」を使う男だ。
年間ではなく、月当たりだ。

私はカルチャーショックを受けた。
そして大笑いをした。
私の5倍以上の金額を毎月使っているからだ。
そして手取金額より多いじゃないか。

彼の生活を聞くと、確かに20万円くらい到達しそうであった。
ほどんど家で食事を作らない。
外食へ行くと大概は酒も飲む。
会社の人と行くと、奢ることが多い。
結果、食費20万円だ。

現在彼は社会人生活3年目で、そこそこ立場のあるらしい。
私が10年目くらいになってようやく行いそうな仕事を今取り組んでいる。
だから私よりも沢山のお金を稼いでいて、お金を使っている。
凄くシンプルだ。
ただ、それを経験する時期が早すぎる。
1年目で下っ端の私からすると考えられない世界だった。

確かに彼は高校時代から凄くできる奴だった。
学校での成績は1番だった。
頭が切れるので、日常会話でも言い負かされることが多かった。

自分の無力感もあったけれど、安心感みたいなものもあった。
高校時代に私よりずっとできた彼は、社会人になってもできる彼のままだった。
圧倒的な力の差が現在もずっと残っている。
いや、どんどん開いている。

もし彼ができない存在だったら、彼以上にできる人がどこかにいることになる。
そうなると世界が広すぎて、未知なことが多すぎて怖い。
身近にいたできる人が、遠い場所へいってもできる人で多分安心したのだ。

ほとんど同じ会社の人としか交流がなかったので、考えが凝り固まっていた。
私は今1つの小さな会社の世界しか知らないけれど、他にも沢山ある。
あんまり肩肘を張りすぎることなく、目の前のことに取り組もうと思えた。

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